melted scissors

雑誌「SWITCH」連載1〜10回

❶ いろいろな座標軸を飛び越えて影のように自分の存在を不確定なものにしながら、見えてくる不確かなものをつみとっていく。たとえば、子供のころ、絵を描いたときのような状態になってみると、なにが見えるだろう。(1997.9)
❷ チェコのプラハに住んでいる画家のレナは、朝、こげたパンケーキを焼いてくれた。彼女は数年前に手のシリーズの絵をたくさん描いていたので、偶然見つけたギャラリー‘HAND’というところで個展を開いた。その頃、毎朝オレンジの皮むきをしている手を写真に撮り、それをモチーフに描いていたので、1日に3個ずつオレンジを食べていたら、オレンジを食べると蕁麻疹がでるようになってしまったと話していた。芸術と生活は切り離せない。(1997.10)
❸ GOES ON AND ON. TO WHERE? LISTEN TO THE WORLD BREATHING IN AND OUT INVISIBLY… もし、片方の靴を失くしたら、もう片方の靴はどうしたら良いのだろう。手袋や靴下も。それをうまく利用する方法を知っている? 実現可能な計画は、実行すべきか?(1997.11)
❹ ドイツのミュンヘンに住み始めた。部屋が広くなって、電車に乗ることも少なくなって、じゃがいもと黒いパンとヨーグルトを食べる回数が増えた。ドイツ語はわからないので英語を話している。ラクダの絵を描こうと思ったらカラスになってしまったように、いつも願いはかなわないけれど、1月には子供が生まれる。カラスのような子供にちがいない。だから名前は‘そら’に決めた。(1997.12)
❺「海が見たい」「あの人は忘れないと思う」「たぶん時々は忘れてるな」「どこへ行きたい?」「ロバート・ワイアットの新作はとてもいいね」「川が海へつながる場所がキャンプするにはいいよ」「青が好きだったな」「スーツケース・ベイビー」(1998.1)
❻「鍵を探すなら、家の外じゃなくて中じゃないですか?」(1998.3)
❼ Hello, It’s me. Do you remember me? How is your life? I don’t know what you are thinking about. I only know what I think. But I want to know you. Tell me something.(1998.4)
❽ Don’t leave me mama. Don’t leave me mama. I’m longing for mama. I’m longing for mama. Love poem happy friend. Love poem happy friend. I’m sleepy sleepy. I miss sleeping with you. I miss waking up with you. I only can wait for you come back to me. Only wait.(1998.5)
❾ 好きな人と食事ができるのは、とてもうれしい。オーストリアのコッセンという村に住む、フーゴ(73才)、インゲボルク(73才)。ドイツ国籍。今年結婚50年。青いエプロンをして、いつも2人が料理して、ごちそうしてくれるのは、ボヘミアン料理。彼らが生まれて育ったのは、チェコ・スロバキア。キッチンの窓から、アルプスの山々が見える。庭には、白と黒のニワトリやアヒルやグースがやって来る。夏は緑の中、冬は雪の中、美しい散歩をした後、お昼に、おいしいごちそうを食べて、その後、昼寝をする毎日。(1998.6)
MELTED SCISSORS If this is what looks like an end – It’s not. What are we here for? Feeding a monster called “money” with our every-day-lives? there are mothers, grandmothers, daughters, sons and sometimes great-grandmothers too where are the fathers? Off to the rat-race? Life is born every day, without any value on credit-cards, without any voice on mobile phones The only thing to trust is love. (And sometimes it smells like a “burning socks”)—— Chilinski, May 18th 98(to Lina Huu & Ayako)(1998.7)
Magazine ‘SWITCH’
September 1997 – July 1998